カフェ・アル・ビチェリンの歴史
カフェ・アル・ビチェリンは1763年、ジュゼッペ・デンティスのシトロンジュー
ス&ジャムのお店として、コンソラータ広場に誕生しました。店内のテーブル、大理
石のカウンター、木の床、そして鋳鉄のシャッター、これらは全て開店当時のものを
使い続けており、18世紀のトリノのチョコレート店の様子と雰囲気を忠実に残して
います。ここではカフェの名前でもある200年以上前から変わらぬビチェリンを味わ
うことが出来ます。
カフェ、チョコレート、そして牛乳のクリームによって作られた歴史あるホットドリ
ンク。プッチーニ、ニーチェ等、著名人の称賛をも受け、時が経った今でも多くの
人々に愛されています。
もちろんカフェではビチェリンだけでなく、ホットチョコレート、ザバイオーネ、そ
して手作りのお菓子など、味わうべきものが沢山有ります。カヴール伯爵が通ってい
た時と同じように、このカフェはチョコレートを介して人々の交流の場、今も昔のま
まのトリノの歴史と生活の一部なのです。
女性経営
その昔、カフェに行くというのは男たちだけの特権でした。男たちはカフェで仲間と
会い、飲んだり喋ったり、タバコで一服したりしていました。だから気品高い女性た
ちはそんな場所には行かなかったのです。その意味でもカフェ・アル・ビチェリンは
かなり早い頃から特徴を持っていました。最初にカフェ・アル・ビチェリンを作った
のは男性でしたが、経営はすぐに女性の手に渡りました。
女性の経営ということもあり、数多くのマダムが店に足を運びました。女性スタッフ
特有のやさしさ、丁寧さ、そして繊細さがビチェリンの重要な一面となり、今まで
ずっと頑なに形も守られてきたのです。1910年から1975年までビチェリンは母の後を
次いだイーダ・カヴァッリが、姉と娘のオルガの手を借りて経営をしておりました。
カヴァッリ家の女性は街の誰からも親しまれ、ただの給仕としてではなく、まさに家
の主、ビチェリンの顔でした。貧困の文化人達はよくここに寒さをしのぎに来ていた
もので、その中から有名になった方も数多くおられます。それもカヴァッリ家の女性
が彼らに思考に耽るための暖かい場所を提供してあげたからでしょう。これらの財産
を受け継いだのが現在の経営者、マリテ・コスタです。彼女は娘の手を借りつつ歴史
あるカフェを修復し、ビチェリンの価値を国内だけでなく、外国にまで広めました。
カフェが1700年代後半に開店してから、店は常に女性の手にあり、長年に渡り女性が
一人で公の場にいられる数少ない場の一つでした。現在のシンプルで蜂蜜色とも言う
べき内装は1830年からのものです。広場の向かいには教会が有りますが、ミサの間は
何も食べることができませんので、ミサが終わり教会から出てすぐのカフェ・アル・
ビチェリンで、チョコレートがたっぷり入ったビチェリンにバタークッキーを浸して
食べていたのです。
Miglior Bar D’Italia受賞
イタリアで一番素晴らしいカフェに与えられる賞。
カフェ・アル・ビチェリンは毎日のように多くの人々から賞賛されています。慣れ親
しんだ常連さん、通り掛りにふらっと入った人々、そして1800年代そのままの小さな
テーブルに腰を掛けてビチェリンを味わいにわざわざ足を運ぶ人などなど。
2000年には、オーナーのマリテ・コスタにとって日頃に増してとても喜ばしい出来事
がありました。20年前から愛情を注いできたカフェ・アル・ビチェリンが、イタリ
アではミシュラン誌より遥かに権威があり、食の世界で知らない人はいないガンベロ
ロッソにより、イタリアNo.1のカフェに選ばれたのです。
カフェは生き物、店や人の雰囲気ともてなしの温かさからなる、イタリア社会の繋が
りの根本。カフェは世界から見たイタリアの象徴、イタリアそのものなのです。とに
かく、毎日の生活の中で仕事の合間に数分だけとるカフェでの休息が、心地よく快適
な時間であってほしい、そういうことなのです。(ガンベロロッソの記事より引用)
カフェ・アル・ビチェリン、1763年創業。イタリア歴史的店舗協会加盟、店ごと正真
正銘の宝物なのです。ここで朝食をとったのならば間違いなく最高の一日を送ること
が出来るでしょう。単なるカフェではなく、チョコとミルクのクリームを混ぜたカ
フェ、すなわちビチェリン。チョコレート・アロマにつつまれた、もう言葉にも表せ
ない場所。そしてビチェリンと共に、シンプルで全てが自家製のクッキー、ケーキを
一緒に頂くのはこの上ない贅沢でしょう。
カフェのすぐ隣の扉を開くと、カフェ・アル・ビチェリンの手作りチョコレートや沢
山の美味しいお菓子、ジャムなどを買うことが出来ます。全てが最高品質の手作り製
品です。
言うまでも無くガンベロロッソはただ単にカフェ・アル・ビチェリンのコーヒーだけ
でグランプリを決めたのではなく、カフェでの心地よさなど総合的な評価なのです。
100年以上にも渡って人々は、その神業ともいえるカフェ、チョコ、ミルククリーム
をミックスしたビチェリンを味わうために列をなすのです。門外不出の秘伝レシピで
世界中の甘党、誰をも微笑ませること間違いなしでしょう。
(新聞・ラレプブリカ紙より引用)